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おもいで、いろいろ

母さんは病気が酷くて入院した。僕は父さんと二人で暮らしていた。
でもその人は僕の父さんじゃなかった。本当の父さんは別にいた。
その人は知らない女性(ヒト)を家につれてきては僕をほったらかして酒を飲んでいた。
汚らしい。あの男は僕の「父」になる資格なんてない。
あんなヤツ認めるのはいやだった。
この名前だってアイツがつけた。
僕には兄さんと母さんが考えてくれた名前があったんだ。
でも、母さんは僕にその名前を付けてくれなかったんだ。

ねえ、もし本当の父さんと一緒だったら、母さんは僕につけてくれた?
僕は、どうしてもこんな名前好きになれない。


追想――コレハボクガ生マレタ物語――

夕暮れの公園。子供達は親に手を引かれ家路についていたそんな中。
僕は一人ベンチに座って、行き交う彼らの姿を見ていた。
まあ、僕には関係ないか。背負っていた鞄から本を取り出す。
黒いハードカバーのその本、母さんは実家から持ってきたものだと言っていた。
しおりの挟んであるページを開くと、ふぅ、と溜息をついてから本を読み始める。
丁寧にページをめくって、何も言わずに読み進めていく。
難し過ぎてあなたには読めないわ。母さんは言っていた。
でも僕にはわかっていた。
文字の羅列はただのフェイク。本質はそこではない別のところにある。
僕はそれを知ってから「直感的に」その本の真理を理解していった。
ぱらりとページをめくる。どうやら次の項目のようだ。

「シェルム」

突然呼ばれた。声に反応して僕は本から目を離す。
見上げた先にいたのは燃えるような赤い長髪の男。
いつの間にか暗くなっていた空にその髪は煌々と輝いていた。

「お前、また家に帰らずこんな所にいたのか?」

男の低すぎない声が僕――シェルム――にかけられる。
僕は彼の目を見た。髪とは違う、血のような深緋の瞳だ。
しかし、毒々しいはずのその色は「彼」と言う存在にあまりに似合いすぎていた。
僕は彼に言葉を返す。

「家なんて僕にはないよ。母さんのいるところが僕の家」
「相変わらず親父さんのこと嫌いなんだな」
「あんなの父親なんて呼びたくないし、認めてないよ」
「……お前、ホントに6歳児か?」

悪い?と僕は笑う。
彼曰く、僕の笑顔は年不相応な笑顔らしい。
どこか影のある、そして何かを見下しているかのような顔。そう言われた。
僕は何も言い返さなかった。当たっていたから。(まあ、見下してるのは今のところ一人だけど)
僕は僕の真実を知ったその日から明るく笑うコトなんて出来なくなった。
……ましてや、母さんと一緒にいられなくなった今、その必要もないし。
それでも彼に対しては、他の人に比べては明るく笑っているつもりだった。
彼は僕を見て小さく息を吐き、左手を差し出した。

「今日もうちに来るか?」

いつもの言葉。僕が家に帰らないことを知ってから、彼は自分の住んでいる部屋に僕を泊めてくれる。
彼が住んでいるのは彼の働いているお屋敷。すごく大きくて、初めて行ったときはビックリした。
そこのご主人にはあったことないけど、僕みたいな子供を受け入れてくれるあたり、いい人っぽい。
……そう言う人に限って悪いヤツとかって言うのがオチだけど。
それでも行くところがないよりかはまし。僕はおきまりの返事を彼に行った。

「ほんと?うん、行く」

栞を挟み、本を閉じ、僕は差し出された男の手を握る。
白い手袋越しに伝わるぬくもりは、僕にとって貴重なものだった。
僕は自分よりも何10cmも高いところにある男の顔を見る。
頬には傷のような赤いペイントがあった。

「帰ろっか、ルーイ」
「おう、帰るとするか」

星空の下、僕とその男――ルーイは家路についた。










僕は知らなかったんだ。このときすでに僕の中で変化している物があったことを。
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テーマ : Silver Rain
ジャンル : オンラインゲーム

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背後「影」

Author:背後「影」
最近いろいろと忙しくなってきていて体力的には死にそうなんだが、精神的にはネタが溢れてどうしよう的な感じの存在。絵描きで字書き。だが遅筆。


1st 黒羽・闇(b20433)
2nd 鎖山・テト(b20546)
3rd 鎖山・ペコ(b26657)
4th ルートビッヒ・オルフォイス(b35264)
5th 白河・月(b40042)
6th 榧口・銹(b42822)
??? 九十九尾・宮呼(b60704)




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ブログ内のイラストの内、背後の影が書いたものと記述してあるもの以外の作品は、トミーウォーカー(株)のPBW『シルバーレイン』用のイラストとして、上記7人が作成を依頼したものです。イラストの使用権は上記6人に、著作権は登録絵師様方に、全ての権利はトミーウォーカー(株)が所有します。

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