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眠り続ける彼の目覚め

ゆっくり、ゆっくりと目を覚まそうとしている。
でも、今出て行っても、そこにボクの居場所はない。
そんな気がして、出て行くのが怖いんだ。
……それに最近、ボクが【僕】に戻っていく気がする。
元々存在しなかったボクが、本来あるべき【僕】に戻っていく。
……もうすぐ、もう少し。
ほんのわずかでいい。
届かぬ星に手を伸ばす、あの人へ。
もう一度…………



そこは、まるで虚無のたゆたう海のような場所。
ボクが、「ペコ」であるボクが唯一彼――【僕】という本来の人格と話すことが出来る場所。
ぼんやりと輝く灯の中、彼は小さなランプを手にこっちに向かってきた。

「……やあ、やっと起きたの?ペコ」
「……ここで話すの久しぶりだね、【僕】」

それを聞いて彼は苦笑い。更に僕に近付く。

「ありがと、でもいいよ。今となっては君と母さんくらいだから、名前呼ぶの許してるの」
「そう?…………そっか。もうルーイもボクらを【ペコ】って呼ぶもんね」
「うん。今更な話だけどね」

くくく、と彼は笑う。そして立ち止まる。

「……ねえ、君はここから出てこないの?」
「……出て行ってもいいけど、ボク、怖いんだ」
「怖い?」
「うん」

ボクは目を伏せ、彼から視線をそらす。
正直、ボクは【僕】が羨ましい。ボクでは言えないようなこともはっきり言えてしまうから。
ボクにはない、強さをたくさん持ってるから……
それくらいなら、ここでボクが失われる時を待った方がいいんじゃないかって。
ボクという存在の、あるべき場所へ戻った方がいいんじゃないかって思い始めてた。

「ねえ、まさかこのまま消えようなんて思ってないよね」
「……?どうしたの?」
「君がいないとさ、ボクが調子悪いとき大変なんだ。
 君のことが必要な人だっているんだ。
 ……ボクも、兄さんも、それに……」

彼は口籠もる。でも、何となく言いたいことは分かる気がした。
……そう、この学園に入ったのは「ボク」の意志。ボクが決めたこと。
彼を無理矢理引っ張って、ここに入ったのは「ボク」だった。

「……だから、いいかい?君ももっと、ボクと一緒に」
「でも……」
「人の話は最後まで聞かないか!」

がすん、とチョップ。頭がひりひりと痛む。

「……全く。ともかく、ボクはもっと君と一緒にいたい。
 それにさ、一人より二人の方がきっとうんと楽しいと思うんだ」
「楽しい?」
「そうだよ。アンナちゃんが言ってただろ?
 『ふたりというものはいいものだ。
 楽しいときは2倍楽しめる。そして苦しい時は半分で済む』……ってさ」
「…………」
「それに、二人なら寄り効率よく口説けるだろうし」
「口説くって……だれを?……って、聞く必要ないよね?」

もちろん。そういって彼はボクに向かって拳を突き出す。
ボクはそれに自分の拳を重ねた。

「ちょっとずつさ、一緒に大人になっていこう」
「そうだネ!……ボクも、頑張ってみるよ」
「……ふふっ、そうそう。君はその無駄に明るい方がお似合いだよ」

ボクらは、重ねていた拳を開いた。開いて、お互いがっちりと掴んだ。
約束の握手。もう、消して迷わないための。

「……さ、行こうか、ペコ」
「うん、行こうか……シェルム」










※オレンジ・ペコが戻ってきます。久しぶりにキャワー!とかはや?とか言えます。
 そしていろいろ分かりづらいので微妙に解釈を。

【ボク】→「ペコ」と呼ばれる存在。幼い頃に分かれた「2つ目の人格」
【僕】→「シェルム」と呼ばれる存在。本来あるべき「主人格」

多重人格というべきなんでしょうか、彼らは「ひとつの身体を共有する双子」みたいな感じです。
これからは二人が協力していくことで新たな性質の「鎖山・ペコ」が誕生します。
……まあ、あまり変わりはないかもしれませんが、その辺も含めてヨロシクです。
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テーマ : Silver Rain
ジャンル : オンラインゲーム

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背後「影」

Author:背後「影」
最近いろいろと忙しくなってきていて体力的には死にそうなんだが、精神的にはネタが溢れてどうしよう的な感じの存在。絵描きで字書き。だが遅筆。


1st 黒羽・闇(b20433)
2nd 鎖山・テト(b20546)
3rd 鎖山・ペコ(b26657)
4th ルートビッヒ・オルフォイス(b35264)
5th 白河・月(b40042)
6th 榧口・銹(b42822)
??? 九十九尾・宮呼(b60704)




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ブログ内のイラストの内、背後の影が書いたものと記述してあるもの以外の作品は、トミーウォーカー(株)のPBW『シルバーレイン』用のイラストとして、上記7人が作成を依頼したものです。イラストの使用権は上記6人に、著作権は登録絵師様方に、全ての権利はトミーウォーカー(株)が所有します。

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